今回は「担い手確保・働き方改革に関する対応(カスタマーハラスメント、管理員・清掃員の休暇取得等)」に関する部分から第12条に追加された箇所を具体的に説明していきます。
以下 甲:管理組合 乙:管理会社となります。
(有害行為の中止要求)
【赤線部分が追記箇所で、第8条の追加により条文番号が一つずれています。】
第12条 乙は、管理事務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者(以下「組合員等」という。)に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。
一 法令、管理規約、使用細則又は総会決議等に違反する行為
二 建物の保存に有害な行為
三 所轄官庁の指示事項等に違反する行為又は所轄官庁の改善命令を受けるとみられる違法若しくは著しく不当な行為
四 管理事務の適正な遂行に著しく有害な行為(カスタマーハラスメントに該当する行為を含む)
五 組合員の共同の利益に反する行為
六 前各号に掲げるもののほか、共同生活秩序を乱す行為
2 前項の規定に基づき、乙が組合員等に行為の中止を求めた場合は、速やかに、その旨を甲に報告することとする。
3 乙は、第1項の規定に基づき中止を求めても、なお組合員等がその行為を中止しないときは、書面をもって甲にその内容を報告しなければならない。
4 前項の報告を行った場合、乙はさらなる中止要求の責務を免れるものとし、その後の中止等の要求は甲が行うものとする。
5 甲は、前項の場合において、第1項第4号に該当する行為については、その是正のために必要な措置を講じるよう努めなければならない。
(改訂箇所の解説)
ここでの「カスタマーハラスメント」とは、組合員等が管理業者の使用人等に対し、本契約に定めのない行為や法令、管理規約、 使用細則又は総会決議等(以下「法令等」という。)に違反する行為を強要すること、侮辱や人格を否定する発言をすること、文書の掲示や投函、インターネットへの投稿等による誹謗中傷を行うこと、執拗なつきまといや長時間の拘束を行うこと、執拗な架電、文書等による連絡を行うこと、緊急でないにも関わらず休日や深夜に呼び出しを行うことなどが含まれるとされています。
「マンション管理業におけるカスタマーハラスメント実態調査集計結果」
(一般社団法人マンション管理業協会)によると直近3年間でカスタマーハラスメントを経験したことがあるフロント又はその管理職は6割を超えるとのことです。
一方でマンション管理業協会が令和4年度に実施した調査では、営業担当者及び修繕技術者が「大いに不足」「やや不足」と回答した管理会社が6割近くありました。
つまり、ハラスメント行為により業務に支障が出たり、従業員が心身の不調で働けなくなってしまったとしたら管理会社にとっては大きな損失となり、場合によっては管理委託契約を解除せざるを得なくなる事態に陥る可能性もあります。
管理会社との交渉の際にどこまで要望事項を申し入れるべきか判断に迷うこともあるかと思います。当機構では管理会社に関する相談対応の実績も多数有しておりますのでお気軽にご相談ください。
マンション管理士 長濱 千奈美