このコーナーでは、標準管理規約や標準管理委託契約の改正内容について、何故改正したのか説明していきます。
2025年2月は標準管理規約(2024/6改正版)第49条の2の巻です。
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◎総会議案書や付随資料がない議事録だけを見ても中身がわからない。全部保管されているから、見て理解できる!
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【改正前】
(議事録の作成、保管等)
第49条 総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名しなければならない。
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
【改正後】
(総会資料の保管等)
第49条の2(追加項目) 理事長は、議案書及び付随する資料を保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、議案書及び付随する資料の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
(改正箇所の解説)
管理組合で様々な取決め事をする際の最高機関は総会です。総会でどのような議案が提案されたのか、また結果はどうだったのか(賛成反対の比率や決議の有無等)については、議事録に残して一定期間保存しなければなりません。そして理事長は、議事録について区分所有者はもちろんのこと、そのマンションの購入を検討しているような、所謂利害関係人へも、請求があった場合には見せなければならないこととされています。
そこで例えば長期修繕計画の見直しについて総会決議があった場合に、議事録に「長期修繕計画の見直しが提案され、賛成多数で決議された。」旨のみが記載されたとします。もしこのマンションの購入を検討している方がこれを参照にする場合に、長期修繕計画が何をどこまで盛り込んでいて、大規模修繕工事がいつ予定されていて、住戸毎の修繕積立金がいくらで将来値上げ予定があるのかどうか、そもそも管理組合自体の資金は潤沢なのか、といった判断材料が全くなければ、検討対象外になってしまいます。
改正版は、そうした事態にならないよう総会議事録だけでなく、議案書や付随する資料(この場合では決議された長期修繕計画書一式)も一緒に保管して、閲覧を要求された時に対応できるよう追記したものです。私たち日本分譲マンション診断機構では、管理組合の膨大な保管書類をテキストデータ化し、省スペース化・整理整頓・劣化や紛失の防止等に、お役に立てるサービスも取り揃えていますので、お気軽に声がけ下さい。
(テキストデータ化のご参照)
https://www.jmisa.org/documents/denshika.pdf
さいとうたけろうマンション管理士事務所
齋藤太桂朗